麻雀愛好家のなかで国際ルール (中国麻雀・中国麻将・ちゅんま) の存在を知っている人は増えてきましたが「役が80種ある」と聞いて「覚えるのが大変だ」と手を出しづらく感じている人も少なくないことと思います。 しかし、日本の麻雀でもすべての役と点数計算を暗記してから対局に臨む人の割合は高くありませんよね。 国際ルールも同じで、すべての役と点数を覚えていなくても楽しむことができます。 しかしどれを覚えたらよいのでしょうか。 そんな疑問への一回答として、ゲーム性はそのままに、役を絞り、初心者でも気軽に楽しめるルールを作ってみました。
この節は国際ルールおよび本ルールについての大まかな特徴を説明したものです。 より細かい差異は次の節に譲ります。
この節はゲーム進行の上で国際ルールが日本のルールと異なる点をまとめます。 アガリ役・アガリ条件や点数計算については別の節になっています。
この節では本規則に登場する役を次の3つに分けて解説します。
「すべての役」として、これらを統合した一覧も付け加えました。 本規則では、これらの役のなかから単独でも組み合わせでも6点を作ればアガリが認められます。 本来の国際ルールでは、この制約は8点になります。 本来の国際ルールの役すべてを知りたい方は別のページをお探しください。
発音役名の読み方は日本国内でも中国語として読むのが慣行です。 ただし当然ながら誰でも中国語ができるわけではありません。 中国語の発音に近いカタカナを掲載しましたが、日本語の「カ/ガ」「ダ/タ」「バ/パ」「ヂャ(ジャ)/チャ」のような音への対応は人によって感じ方が異なり、カタカナ読みもこれと異なることがあります。 重要なのは相手にわかるように伝えることですので、お互いが初級者なら正式な「三色三歩高」よりも「234, 345, 456 で6点」の方が適切なこともあります。
ここが最も重要です! 定義だけでなく、難易度の目安や「この役でアガる人はこんな役も作っています」のような戦術の基礎も紹介します。
全員から3枚が見えている牌の4枚目でアガると4点となります。 これを積極的に狙う局面は限られてきますが、たとえば「三色にならない安目を見逃す」といった場合、4枚目であればこの役のおかげでアガれることがあります。
3色で数が1つずつずれた3つの順子を作ると6点となります。 あえて言い切りますが、この役が最も重要です。 「配牌を見たら三色を見よ」は日本式の古い格言ですが、国際ルールでは「配牌を見たら三色と三色三歩高を見よ」が有効です。 これに似た三色同順が7パターンしかないのに対し、三色三歩高は30パターンあります。 約4倍の作りやすさで、点数はほとんど変わりません。 三歩高を制する者は中麻を制す。
萬子・索子・筒子・風牌・三元牌すべてを使うと6点となります。 配牌に風牌と三元牌の対子があったら、ホンイツより前にこちらを検討しましょう。 いずれにしろ積極的に鳴いていくことができます。 字牌は扱いづらいので対子1つだと落とすこともありますが、数牌の色も数も偏っていなければ風牌をポンして三元牌のタンキ待ちにすることも有効です。
暗槓を含まない裸単騎のロンアガリが6点です。 他の役が見えなかったら、とにかく鳴きまくりましょう。
3色で 123, 456, 789 の順子を作ると8点となります。 三色と同じぐらい、つまりかなり使いやすい役です。 しかし数字が離れているので、始めたばかりの方は見落としがちです。 字牌を整理している間に「この 19/28 にくっついたら?」を考えておきましょう。
点対称な牌、つまり索子の245689・筒子の1234589・白のみで作ると8点となります。 順子が4種類に限られるので点数の割には難しいです。 そのぶん、初めてアガると感動します。
ここでは2役まとめて紹介します。 5より大きい数牌 (6–9) だけで作る、または、5より小さい数牌 (1–4) だけで作ると12点です。 使える牌の種類が 3色×4数 = 12種 なので12点、という覚え方があります。 数の偏りを察知したらまずは三色三歩高を考えるところですが、対子・刻子が増えてくると機動力を発揮します。
1色で数が1つずつずれた3順子を作る、または、1色で数が2つずつずれた3順子を作ると16点です。 実戦では同じ牌をたくさん使わなくてよい「2ずれ」の方、つまり 123345567, 234456678, 345567789 をよく見ます。 一通を狙っている際は安易に先切りをせず、一色三歩高との両方を狙うことを念頭に置きましょう。 たとえば 134567789 の形は、2で一通・5で一色三歩高が完成する形ですので、埋まらなければテンパイまで保持します。 これが 133456789 であれば3を持っていても一色三歩高にはなりません。
4面子1対子すべてに5を含めると16点です。 最低でも6枚の5が必要で、そのうち4枚ぐらいは持っていないと狙いづらく、「珍しく高い役」に入れるべきだったかもしれません。 中央付近の三歩高を狙っているときに「さらに内に寄った形」かつ「対子も5になりそう」になったら、三色三歩高にならない方をチーできるかもしれません。 たとえば 456/567/67 と持っていたら8で三歩高ですが、残りが456/55なら5でもアガれるという寸法です。
日本式の2符は1点です。 ただし待ちの点は待ちが1種しかない手に、ツモの点はメンゼンツモがつかないときに限ります。
鳴かずにロンアガリすると2点です。 日本式では10符ですね。 四暗刻などの「メンゼンでないと作れない役」とは複合しません。
役牌の刻子は2点です。
日本の平和とは少し違い、順子4組と数牌の対子を作ると2点です。 客風牌の対子は使えませんが、どんな待ちでもかまいませんし、もちろん鳴くこともできます。
タンヤオは2点です。ご存知ですね。もちろん鳴くこともできます。
メンゼンツモは4点です。 四暗刻などの「メンゼンでないと作れない役」とは複合せず、代わりにツモの1点になります。 逆に、嶺上開花などの「ツモでないと成立しない役」とは複合することができ、メンゼンロンにはなりません。
チャンタ・純チャンは区別されておらず、ともに4点です。 単独ではアガれませんが、三色にならなくても意外とアガれます。 役牌または待ち・自摸・門前清などと組み合わせましょう。 実は1–2点の役と相性がよいため、本規則では本来の国際ルールより少し使い勝手が落ちています。 三色や五門斉になるときは無理にチャンタを追ってアガリを逃さないように気を付けましょう。
トイトイは6点です。 ポンして作るからポンポン和ですね。 実は現在の「ポン」は昔は「対 (トイ)」と発声したようです。 字牌は鳴きやすいです。 1, 9 はそうでもないです。 遠いところから仕掛けるときは五門斉や全求人も見ましょう。
ホンイツは6点です。 安いこともあり日本式より絞られにくいので、遠いところから仕掛けてもアガれます。 一通になるときには無理に混一色までつけないようにしましょう。 日本式なら打点4倍ですが、国際ルールでは2倍にもなりません。
いわゆる偶然役は8点です。 これは本来の国際ルールでのアガリ必要点であり、すなわち「のみ」でアガれるようになっています。 テンパイしていて大明槓してもアガリ牌が減らないならカンして狙いましょう。 流局時の手牌は評価されないので、海底でアガれなかったときには振り込まない牌を選んで捨てましょう。
三色と一通は8点と16点です。 日本式では同じ2飜ですが、実際の出現率も倍ぐらいの差なので、本来こちらが公平です。 これらを狙うことはもちろんですが、その際は「少しずれた役」の可能性も見られるようになりましょう。
七対と清一色が同じ24点です。 これを「得だ」と考えて七対ばかり狙う人もいますが、それは早いアガリに結び付けばの話です。 始めたばかりの方は積極的に鳴いて国際ルール独自の役を作る練習をした方が、アガれますし、上達にもなりますし、新しいルールを楽しむことができると思います。 七対を狙うのは対子が多くて他の役は遅そうなとき、清一色は「最初は一通を狙っていたが、たまたま同じ種類の数牌が増えたとき」です。
いわゆる一色三順・三連刻は24点です。 牌姿としては 111222333 のような形で、ポンまたはチーをするとどちらかに確定します。 「珍しく高い役」のうち国際ルール独自の役はこれだけで、さらに難しいものはカットしました。
混老頭は32点です。 碰碰和 (トイトイ) はすでに含まれているということにして複合しませんが七対は複合します。
役満の一部は64点です。 なんとその中に小三元が入っています。 無理なく狙えるときは狙ってください。 「最近役満アガった?」と尋ねて「昨日は小三元ツモったよ」と返ってきたら「それ、ちゅんまだろ!」と突っ込みましょう。 64点か88点かを気にするより先に、記念写真を撮りましょう。
他の役満は88点です。 九蓮宝灯は純正9門張に限ります。 フリテンにしてもロンアガリできますが清一色のツモアガリと点数は大差ありません。 十三幺は国士無双のことで、純正13門張でなくてもかまいません。 ところで、天和や地和はありません。いわんや人和をや。
役の名前・最も日本でメジャーな呼び方を、日本式での評価 (便宜上、3飜 (食い下がり2飜)・2飜 (食い下がり1飜) はともに2飜と表記し、一部の役は「必ず複合する役」の飜数を含めています) とあわせて点数順に一覧します。 最初のうちは、高い役の点数を覚える必要はありません。 存在を知っていれば自信をもってアガることができます。 点数計算は実戦のアガリを通して少しずつ覚えていきましょう。
役名 | 点数 | 呼称 | (日式) |
---|---|---|---|
辺張 | 1 | ペンチャン | 2符 |
坎張 | 1 | カンチャン | 2符 |
単釣将 | 1 | タンキ | 2符 |
自摸 | 1 | ツモ | 2符 |
箭刻 | 2 | 牌名 | 1飜 |
圏風刻 | 2 | 牌名 | 1飜 |
門風刻 | 2 | 牌名 | 1飜 |
門前清 | 2 | メンゼン | 10符 |
平和 | 2 | ピンフ | 1飜 |
断幺 | 2 | タンヤオ | 1飜 |
不求人 | 4 | メンゼンツモ | 1飜 |
全帯幺 | 4 | チャンタ | 2飜 |
和絶張 | 4 | フージュエジャン | |
碰碰和 | 6 | トイトイ | 2飜 |
混一色 | 6 | ホンイツ | 2飜 |
三色三歩高 | 6 | サンプーコー | |
五門斉 | 6 | ウーメンチー | |
全求人 | 6 | チェンチューレン | |
花龍 | 8 | ファロン | |
推不倒 | 8 | トイプタオ | |
三色三同順 | 8 | サンショク | 2飜 |
妙手回春 | 8 | ハイテイ | 1飜 |
海底撈月 | 8 | ホーテイ | 1飜 |
槓上開花 | 8 | リンシャン | 1飜 |
搶杠和 | 8 | チャンカン | 1飜 |
大于五 | 12 | ターユーウー | |
小于五 | 12 | シャオユーウー | |
清龍 | 16 | イッツー | 2飜 |
一色三歩高 | 16 | 一色サンプーコー | |
全帯五 | 16 | チェンタイウー | |
七対 | 24 | チートイ | 2飜 |
清一色 | 24 | チンイツ | 6飜 |
一色三同順 | 24 | イーソーサントンシュン | |
一色三節高 | 24 | イーソーサンチェカオ | |
混幺九 | 32 | ホンロウトウ | 4飜 |
清幺九 | 64 | チンロウトウ | 役満 |
小四喜 | 64 | ショウスーシー | 役満 |
小三元 | 64 | ショウサンゲン | 4飜 |
字一色 | 64 | ツーイーソー | 役満 |
四暗刻 | 64 | スーアンコー | 役満 |
大四喜 | 88 | ダイスーシー | 役満 |
大三元 | 88 | ダイサンゲン | 役満 |
緑一色 | 88 | リューイーソー | 役満 |
九蓮宝灯 | 88 | チューレンポートー | 役満 |
十三幺 | 88 | シーサンヤオ | 役満 |
国際ルールの点数計算は簡単です。 まず足し算をして、その結果を他家から受け取るだけです。 点数の単位は上述のように「1点」です。 日本国内では、100点を最小単位とする点棒が流通していますので、点棒を100で割って換算します。
局の参加料を8点とします。 これは全員が出し、アガった人が総取りです。 流局したら戻ってくる、と考えてもかまいません。 自分の出した分を除くと、アガリ自体に24点が与えられるということです。
その上で、成立している役の点数をボーナスとして加えます。 ツモアガリは3人から、ロンアガリは1人からもらいます。
アガリが発生したら、アガった人が捨て牌を使って全員にわかるようにしながら手役の点数の和を計算します。 そして、その和を s とすると「s は (s+8)」のように申告します。 たとえば s = 12 なら「12は20」です。
残り3人は「手役の点数の和+8」を支払います。
振り込んだ人は「手役の点数の和+8」を支払います。
残り2人は8点のみ支払います。